年収・加入期間を入力するだけで老齢基礎年金+厚生年金の受給見込み額を即計算。繰り上げ・繰り下げ受給の損益分岐点・ねんきんネットの活用方法も徹底解説。
年収・加入年数から、将来受け取れる年金額(老齢基礎年金+老齢厚生年金)の目安を計算します。
日本の公的年金は「2階建て構造」になっています。1階部分の「国民年金(老齢基礎年金)」はすべての国民が加入し、2階部分の「厚生年金(老齢厚生年金)」は会社員・公務員が上乗せで加入します。自営業・フリーランスは1階部分のみとなるため、老後の年金受給額は会社員より大幅に少なくなります。
2026年度の老齢基礎年金の満額は月額約68,000円(年額約816,000円)です。ただしこれは40年間(480ヶ月)全期間保険料を納めた場合の満額です。未納期間がある場合は比例して減額されます。
老齢厚生年金は現役時代の平均報酬(月収)と加入期間によって決まります。計算式は複雑ですが、おおまかには「平均月収×加入月数×0.005481(乗率)」で概算できます。
公的年金は原則65歳から受給開始ですが、60〜64歳での「繰り上げ受給」(減額)や66〜75歳での「繰り下げ受給」(増額)が選択できます。
| 受給開始年齢 | 増減率 | 65歳受給との損益分岐点 |
|---|---|---|
| 60歳(最早) | ▲24%減額 | 約80歳頃(繰り上げのほうが損) |
| 62歳 | ▲14.4%減額 | 約81歳頃 |
| 65歳(標準) | 増減なし | 基準 |
| 70歳 | +42%増額 | 約82歳頃(繰り下げのほうが得) |
| 75歳(最遅) | +84%増額 | 約86歳頃 |
日本年金機構が提供する「ねんきんネット」(マイナポータル経由でログイン可能)では、自分の年金加入記録・現在の年金見込み額を確認できます。「ねんきん定期便」(毎年誕生月に届くハガキ)でも年金見込み額を確認できます。50歳以上の方は現在の加入状況が続くと仮定した場合の65歳以降の年金受給見込み額が記載されています。
2024〜2026年にかけての年金制度の主な動向として、少子高齢化を背景とした「マクロ経済スライド」による年金額の実質的な抑制が続いています。一方で2022年から老齢年金の受給開始年齢の上限が70歳から75歳に引き上げられ、繰り下げ受給の選択肢が広がりました。また2024年10月から、短時間労働者の厚生年金加入要件が「従業員51人以上の企業」に引き下げられ、より多くのパート・アルバイト労働者が厚生年金に加入できるようになっています。
「年金はいくらもらえるのか」「いつから受け取るのが得か」は、老後設計の核心です。2026年度の最新額と、受給開始時期による損得を具体的な数値で見ていきましょう。
2026年4月分から、年金額は前年度より引き上げられました(国民年金+1.9%・厚生年金+2.0%)。
| 区分 | 月額(2026年度) |
|---|---|
| 国民年金(老齢基礎年金・満額) | 70,608円 |
| 厚生年金(夫婦2人の標準的な年金額) | 237,279円 |
| 厚生年金(平均的収入で40年・1人分目安) | 約170,000円前後 |
※厚生年金は現役時代の報酬と加入期間で大きく変わります。正確な見込額は「ねんきん定期便」やねんきんネットでご確認ください。
公的年金は原則65歳開始ですが、60〜75歳の間で受け取り開始を選べます。早める(繰上げ)と減額、遅らせる(繰下げ)と増額されます。
| 受給開始 | 増減率 | 65歳で月15万円の場合 |
|---|---|---|
| 60歳(繰上げ) | 24%減(月0.4%×60か月) | 約11.4万円 |
| 65歳(通常) | ±0% | 15万円 |
| 70歳(繰下げ) | 42%増(月0.7%×60か月) | 約21.3万円 |
| 75歳(繰下げ) | 84%増 | 約27.6万円 |
繰下げは増額される一方、受け取り開始が遅れるため、「何歳まで生きるか」で損得が変わります。一般に、繰下げの損益分岐点は受給開始から約11〜12年とされます。例えば70歳まで繰下げた場合、おおむね81〜82歳より長生きすれば、65歳開始より総受給額が多くなる計算です。日本人の平均寿命(男性約81歳・女性約87歳)を踏まえると、長生きする人ほど繰下げが有利になります。逆に、健康に不安がある・早く受け取りたい場合は繰上げや通常受給も選択肢です。
2026年4月から、働きながら厚生年金を受け取る人の「在職老齢年金」の基準額が、月51万円から65万円に引き上げられました。これにより、賃金と年金の合計が65万円までは年金が減額されず、働きながらでも年金を受け取りやすくなりました。「働くと年金が減るから損」という従来の懸念が、緩和される方向です。なお、老齢基礎年金は元々この調整の対象外です。
受給額を増やす方法もあります。①繰下げ受給で増額する、②60歳以降も働いて厚生年金の加入期間を延ばす(70歳まで加入可能)、③未納・免除期間がある場合は任意加入や追納で補う、④iDeCoなどの私的年金を上乗せする。公的年金は終身で受け取れる「長生きへの保険」でもあるため、自分の健康状態やライフプランに合わせて受給時期を考えることが大切です。
| 受給開始 | 年金額の増減 |
|---|---|
| 60歳(繰上げ) | 最大24%減額(一生減額のまま) |
| 65歳(通常) | 基準額(100%) |
| 70歳(繰下げ) | +42%増額 |
| 75歳(繰下げ) | +84%増額 |
| うまくいきやすい | つまずきやすい |
|---|---|
| ねんきんネットで早めに見込み額を把握 | 年金額を知らず、老後資金計画が立てられない |
| 年金で不足する分をNISA/iDeCoで準備 | 年金だけに頼り、不足に直前で気づく |
| 健康・就労状況に応じ受給開始を検討 | よく考えず受給開始し、後で後悔 |
| 未納期間を追納・任意加入で埋める | 未納を放置し、受給額が減る |
年金には、知らないと大きく損をする制度がいくつもあります。特に「保険料が払えないときの対応」は、将来の年金額だけでなく、万一のときの保障にも直結します。
国民年金保険料が払えないとき、放置して「未納」にするのが最悪の選択です。申請して「免除」「納付猶予」が認められれば、扱いがまったく違います。
✅ 免除・猶予が認められると:受給資格期間(10年)に算入される/全額免除でも国庫負担分が年金額に反映される/万一のときに障害基礎年金・遺族基礎年金を受けられる
❌ 未納のままだと:受給資格期間に入らない/年金額に反映されない/障害を負っても障害年金が受けられない可能性がある
この違いは決定的です。事故や病気で障害が残ったとき、未納だと障害年金が一切出ないことがあります。払えないと思ったら、必ず市区町村の国民年金窓口か年金事務所へ申請を。失業した場合の特例免除、学生納付特例、産前産後の免除、DV被害者の特例免除もあります。
免除・猶予・学生納付特例を受けた期間の保険料は、10年以内なら後から納められます(追納)。追納すると、その期間は全額納付した扱いになり、将来の年金額が増えます。
1年分の追納で、全額免除期間なら年約1万円、納付猶予・学生納付特例なら年約2万円、老後の年金が増えます(生涯もらい続けるので効果は大きい)。さらに追納した保険料は全額が社会保険料控除の対象になり、その年の所得税・住民税も安くなります。
⚠️ 免除等の承認から3年度目以降は加算額が上乗せされます。追納するなら早いほどお得です。特に学生納付特例は、追納しないと年金額に一切反映されません(社会人になって余裕ができたら検討を)。
年金収入とその他の所得が一定基準以下の方に、年金に上乗せして支給される給付金です。消費税財源による制度で、老齢・障害・遺族それぞれに給付金があります。
対象になっても、申請しなければ受け取れません。該当しそうな方には日本年金機構から案内が届きますが、届いていなくても条件を満たす可能性があります。年金事務所か「ねんきんダイヤル」で確認を。
会社員として40年間厚生年金に加入したと仮定し、現役時代の平均年収別に、老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせた年金受給額(月額換算)をまとめました。
| 現役時代の平均年収 | 年金受給額(月額目安) | 年金受給額(年額目安) |
|---|---|---|
| 300万円 | 約124,000円 | 約149万円 |
| 400万円 | 約142,000円 | 約171万円 |
| 500万円 | 約161,000円 | 約193万円 |
| 600万円 | 約179,000円 | 約215万円 |
| 700万円 | 約197,000円 | 約237万円 |
※老齢基礎年金は2026年度満額(年831,700円)、老齢厚生年金は「平均標準報酬月額×0.005481×加入月数」で試算した概算値です。実際の受給額は加入期間・賞与の有無・制度改正により変動します。正確な見込み額は「ねんきんネット」でご確認ください。
年金は後払いのため、受給者が亡くなると必ず未支給分が発生します。生計を同じくしていた遺族(配偶者・子・父母・孫など)が請求できますが、請求しないと支給されません(時効5年)。
また、遺族基礎年金・遺族厚生年金や、寡婦年金・死亡一時金の対象になることもあります。手続きが多く見落としやすいので、年金事務所で「受けられるものが他にないか」まとめて確認してください。